投資のヒント 自然についての隠れた真実と人間についての隠れた真実
更新日:2020年1月3日
隠れた真実を見つけたらどうするか。
誰かに打ち明けるか?それとも自分の中にしまっておくか?
実際には誰にも言わない場合と、全員に打ち明ける場合の中間に丁度いい落とし所がある。
それが企業だ。
優秀な起業家は、外の人が知らない真実の周りに偉大な企業が築かれることを知っている。
偉大な企業とは世界を変える陰謀だ。隠れた真実を打ち明ける相手は陰謀の共犯者になる。
独占企業は注目を避けるために独占状態をなるべく隠し、競争企業はわざと自社の独自性を
強調している。
表面的には企業間にあまり違いがないように見えても、実際には大きな違いがある。
隠れた真実は、探さなければ見つからない。
もし難しいだけのことを不可能だと思っていたら、解決への努力を始めようとは思わないだろう。
隠れた真実の存在を信じることこそが、鍵となる。
エアービーアンドビーは、ほかの人たちが全く見えなかった未開拓の需要と供給に気づいたのだ。
個人送迎バスのリフトとウーバーにも同じことが言える。どこかに行きたい人と送りたい人をつな
げるだけで数十億ドル規模のビジネスになると考えた人はほとんどいなかった。
すでに州の許可を得たタクシーとリムジンが存在していたからだ。
隠れた真実の存在を信じ、それを探さなければ、目の前にあるチャンスに気づくことはできない。
フェイスブックを含めて多くのインターネット起業が過小評価されるのは、それがあまりに単純
なものだからで、それ自身が隠れた真実の存在を裏付けている。
振り返ればごく当たり前に見える洞察が、重要で価値ある企業を支えているのだとすれば、
偉大な企業が生まれる余地はまだたくさんある。
PayPalマフィアの中心的人物ピーター・ティールの著書「ZERO to ONE」からの抜粋
この本の序文を、若くして亡くなられた「僕は君たちに武器を配りたい」の著者、瀧本哲史氏
が書かれていて、熱いメッセージを寄せられています。
言語学は今の人類の使用しているすべての言語が、統辞法の軸である「シンタグム軸」と
意味の軸である「パラディグム軸」の組み合わせでできていることをあきらかにしてきました。
このうちホモサピエンスではパラディグム軸がきわめて広大な空間を開いています。
おそらく、ネアンデルタール人のような旧人から新人への進化がおこったとき、脳内の
神経組織はこのパラディグム軸の空間が爆発的に拡大できる方向に、組織の組み換え
(ブリゴラージュ的組み換え)を実行したであろうと思います。
フランソワ・ジャコブが語っていますように「進化は変異を創出することや遺伝子構造に
無作為な変化が(突然変異)を起こしたり、あるタンパク質にわずかに違った変異を起こす
ことによって仕事をさせている。」
手持ちの素材に、ちょっとした変異を加えるだけで新しい機能を生み出し続けてきました。
生命は遺伝子レベルから神経組織にいたるまで、すべてのブリコラージュを原理として
進化を行ってきました。
その果てに脳が出現したのです。
いわば古道具の再利用というやり方(ブリコラージュ)で、進化と創造を実現してきました。
中沢新一著 「レンマ学」からの抜粋
企業が、自然についての隠れた真実と人間についての隠れた真実を創造するには
ブリコラージュの手法を使って、そのつど古い意味を忘却し、新しい意味の発生・増殖
を促していくことが必要でしょう。
そこに投資のヒントがあるように思います。