所得格差拡大


金融危機や所得格差の拡大について、フランシス・フクヤマ氏(米国政治学者)、トマ・ピケティ氏(パリ経済学校教授)、モハメド・エラリアン氏(独アリアンツ・チーフ・エコノミック・アドバイザー)の日経新聞のインタビュー記事から考えます。


 各氏とも、格差の広がりについてはその原因を、技術進歩の質的変容(投資における「勝者総取り」傾向)、グローバル化、政治の衰退をあげておられます。


 エラりアン氏は、先進国ではこの問題は政治の二極化現象と深い関係がある。政治による包括的な対応ができないため、中央銀行に過剰な政策的負担がかかっているのだ。しかし、中央銀行は国としての課題に効果的に取り組む手段に乏しい。


 本来なら、財政政策が再分配などを通じて金融政策を支えるべきだが、現在は政治が膠着して適切な財政政策を講じることができない。中央銀行は人為的なテコ入れを強いられ景気を刺激し雇用を創出するために、事実上のゼロ金利と量的緩和など非伝統的な金融緩和に頼っている。


 こうしたアプローチは富裕層に間接的に有利に働く、金融資産の多くは富裕層に集中しているからである。富裕層に有利な政治システムになっているということであると仰っています。


 この点についてフクヤマ氏は、巨大な資金力を持ち、よく組織された利益団体に政治制度が支配されている。また、それは金融だけではなく石油・農業など幅広い分野で特定の利益団体が自らに都合よく政治を利用している。


 平和と繁栄の時代が続くと、制度を利用するすべを知るエリートが力を増す。富の集中と経済格差がこれに拍車をかける。割を食った国民は政府を信頼しなくなる。政府は支持を失い権限が一段と小さくなる悪循環が起きていると、政治の衰退を説明されています。


 これを防ぐには、何を論点と定め、それがどう国民の利益になるのか説明することができる指導者と、腐敗が少なく効率よく運営されている政府が必要だと仰っています。


 トマ・ピケティ氏は、グローバル化は経済が開放され、一段の成長をもたらす点はいいことだが、透明性を高めるべきだとし、中国国内で得た(不正な)利益でロンドンやパリの不動産を買う動きもお金の流れが透明になれば防げると仰っています。


 世界で最も著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏も不平等の拡大に警鐘を鳴らしています。


 モハメッド・エラリアン氏は不平等の拡大を食い止めるためにやれることは多いとし、例えば米国では強固な政治的意思さえあれば、遺産相続の抜け道を塞ぐことも、富裕層に不当に有利な所得税や法人税の是正できるだろう。ヘッジファンドなどの「成功報酬」に優遇税率を適用する時代遅れの慣習は廃止すべきだし、住宅購入への課税や助成金に見直しの余地がある。


さらに、最低賃金はもっと引き上げるべきだ。


 より効果を高めるためには、構造改革の推進、総需要の拡大、過剰債務の縮小といった明確な目標を掲げた包括的なマクロ経済政策が必要だ。


こうしたアプローチにより中央銀行に現在かかっている重い政策的負担を軽減できると仰っています。


 三氏とも、今こそ不平等に対する世界の関心を喚起し、協調行動に移らなければならないと考えておられます。


私は、正月休みにモハメド・エライアン氏の著書「市場の変相」を読みリスク管理の重要性を再確認しました。

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